基本情報
- 会期
- 2017(平成29)年4月29日(土・祝)~6月11日(日)
※休館日:月曜日(5月1日は臨時開館)
※開室時間10:00~18:00/金曜日は19:30まで(入場は閉室の30分前まで)
- 会場
- 京都文化博物館 4階・3階展示室
(京都市中京区三条高倉、TEL 075−222−0888 FAX 075−222−0889)
- 主催
- 京都府、京都文化博物館、読売テレビ
- 後援
- (公社)京都府観光連盟、(公社)京都市観光協会、KBS京都、エフエム京都
- 入場料金
- 一般1,300円(1,100円)、大高生1,000円(800円)、中小生500円(300円)
※( )内は前売りおよび20名以上の団体料金
内容と主な展示品
第1章 江戸の暮らしと猫
人々の暮らしのなかで、猫はどのように受け入れられてきたのだろうか。少なくとも弥生時代中期から猫は日本にいたとみられ、奈良・平安時代頃には上流階級に愛玩される稀少なペットとなった。しかし江戸時代にはいると、猫は庶民の生活のなかに溶け込み、鼠を捕まえる益獣として重宝され、さらに魔を祓う縁起物としてもみなされた。また逆に魔性を持つ動物としても捉えられてもいる。本章では、鼠退治に奮闘する猫や女性の魅力をひきたてるマスコットとしての猫、伝承に残る怪しい猫などを紹介することで、猫ブームが生み出された土壌ともいうべき江戸の人々が抱く猫のイメージを皆さんに共有していただこう。
第2章 化ける猫
江戸時代後期には、歌舞伎や合巻本の復讐譚に欠かせない素材として化け猫たちが登場し、大活躍した。特に文政10年(1827)、歌舞伎「独道中五十三駅」で三代目尾上菊五郎が化け猫(猫石の精)を演じて大評判となり、化け猫物は繰り返し上演される人気演目となった。このとき、四代目鶴屋南北によって創作された化け猫像 ―十二単を着た老婆が夜な夜な行灯の油をなめる― は第1章でみてきたように、江戸時代の人々が猫から連想するイメージ ―女三宮や踊る猫、老婆に取り憑く猫― が集約されたものといえるだろう。本章では、こうした化け猫ブームの中で形成されてきた猫の姿を紹介する。
第3章 人か猫か、猫か人か
天保12年‐13年(1841‐42)頃、江戸に大きな「猫ブーム」が到来した。愛猫家でもある歌川国芳が次々と猫を題材とした戯画を発表したのである。その評判は当時の合巻でも「今世の中の流行」として紹介されている。彼の描いた作品をよく見ると、役者が猫に見立てられている一方、猫たちが擬人化されたものがある。人が猫に化けたのか、はたまた猫が人に化けたのか。第1章でご紹介したように、猫は人の暮らしと密接につながり、私たちの観察対象となることもしばしば。また表情が豊かであるからこそ、私たちは彼らに人格を見いだしてしまうのかもしれない。本章ではまず天保における猫ブームの背景として、歌舞伎役者が猫の顔を描いた団扇を持って踊った所作事や、猫を主人公とした合巻本を紹介し、さらにこの猫ブームの立役者である浮世絵師、歌川国芳を紹介する。着物の柄や題名に魚、イカ、タコといった猫の好物、貝、小判、鈴などをあしらうなど、細部まで猫にまつわるもの尽くしの絵師のこだわりも、お楽しみあれ。
第4章 福を招く猫
招き猫といえば、丸っこい二頭身で片手をあげ、黒目がちのくりっとした目でこちらを見つめる姿がすぐに頭に浮かぶ。このタイプは愛知県常滑市などで生産されるため、一般的に常滑系招き猫と呼ばれる。しかし、この姿が登場するのはそれほど古いことではなく、昭和20〜30年代頃といわれている。それ以前から日本各地では土地の風土を反映した、様々な姿の招き猫が作られてきた。こうした招き猫の起源がどこにあるか、残念ながらそれについては判然としない。ご当地キャラクター「ひこにゃん」の由来ともなった「豪徳寺説」、「自性院説」、「檀王法林寺説」など諸説あり、いずれも猫という動物が招福や除厄のご利益をもたらしたことが分かるものの、片手を挙げた猫の人形の造形がいつ出現したかがはっきりしないからだ。そのなかで「招き猫」という名称と「手」を挙げた姿で当時の記録に残るのが、嘉永5年(1852)の「丸〆猫」ブームである。この丸〆猫ブームは4、5年で終息したようだが、その後も招き猫は全国各地に拡がって制作され続け、さまざまなバリエーションが生み出された。招き猫の根強い人気は現代へも連綿とつながっており、私たちの住む町のあちこちであの福福しい姿を目にすることができる。この章では、招き猫のいわばご先祖(元祖かどうかは不明)といえる、嘉永の丸〆猫ブームにまつわる資料とともに、以後、続々と誕生した日本全国の招き猫たちを紹介する。
第5章 おもちゃ絵になった猫
着せ替え人形、シール、工作キット…。子どもの頃、雑誌の附録についてくる紙製のおもちゃに心躍らせた経験はないだろうか。昔の子どもたちにも同様の楽しみがあった。「おもちゃ絵」(手遊び絵)と呼ばれる浮世絵である。それらは附録ではなく単独の商品として成立しており、類するものは江戸時代前期からあったと思われるものの、特に幕末から明治にかけて大量に生産されている。どういった内容であったかといえば、芝居の一場面や生活風景を描いたもの、かるた、なぞなぞづくし、双六のほか、切り抜いて遊ぶもの(切小絵)や、組み立てて遊ぶもの(組上絵、立版古)など。そこには、もちろん役者や子どもら人間が描かれているのだが、猫・鼠・犬・狸など、擬人化された動物が主役を飾る作品も多い。なかでも猫が主役のおもちゃ絵は、圧倒的な量をほこっている。もちろん子どもたちにとって猫が身近で親しみのある存在であった証でもあろうが、第3章でみてきた猫の擬人化ブームがあったからこそ、猫が主役のおもちゃ絵が大量に誕生してきたのだろう。国芳の猫が残した足跡は、にゃんと大きなものであったか。
関連イベント
(1)講演会①「江戸の猫ブーム」
- 日時
- 2017年5月6日(土)10:30〜12:00
- 講師
- 津田卓子氏(名古屋市博物館学芸員)
- 会場
- 3階フィルムシアター
- 定員
- 150名[先着順]
- 参加費
- 無料(ただし本展覧会入場券[半券可]が必要です)
※終了いたしました。
(2)講演会②「ダヤンと私 ―好きなことを仕事にする―」
- 日時
- 2017年5月13日(土)10:30〜12:00
- 講師
- 池田あきこ氏
- 会場
- 3階フィルムシアター
- 定員
- 160名[先着順]
- 参加費
- 2,500円(展覧会入場券・グッズ付き)
※前売券販売期間中、
イープラス( http://eplus.jp/nekoten/)
ファミリーマート店頭Famiポートにて取り扱う本展入場券・グッズ付チケット(2,500円)をご購入ください。
※全席指定で席は選べません。定員に達し次第販売を終了いたします。
池田あきこプロフィール
1987年より不思議な国わちふぃーるどを舞台に絵本を描き始め、画集、長編物語、旅のスケッチ紀行など多方面に作品を発表。著書は100タイトルを超える。
河口湖木ノ花美術館にて常設展。TVアニメ「猫のダヤン」の原作・作画を手掛け、「ボルネオ緑の回廊」プロジェクトでは動物たちに安全な森をプレゼントする活動も続けている。
(3)ワークショップ「招き猫絵付け体験」オリジナル招き猫を作ろう!
- 日時
- 2017年5月21日(日)①10:30〜12:00
- 会場
- いつだって猫展会場内(3階やすらぎコーナー)
- 定員
- 15名[先着順]
- 参加費
- 500円(このほか当日の展覧会入場券が必要です)
*定員に達しましたので募集を締切らせていただきました。
(4)学芸員によるギャラリートーク
- 日時
- 2017年5月5日(金・祝)14:00〜、5月19日(金)18:00〜、6月2日(金)18:00〜
※いずれも30分程度
- 会場
- いつだって猫展会場内
※事前申し込み不要。参加無料。ただし、当日の入場者に限ります。
(5)うちの猫自慢
会場内、出口付近のボードに御自慢の愛猫写真を掲示いただけます。
写真をプリントしてお持ちください。(ボードに貼りきれない場合はその周りの掲示となります)
- 日時
- 会期中
- 会場
- いつだって猫展会場内 (愛猫写真コーナー)
※事前申込不要(ただし、本展覧会入場者に限ります)
※写真の返却はできませんのでご了承ください
同時開催「京都(うち)だって猫展」
- 会期
- 4月29日(土・祝)〜6月18日(日)
- 会場
- 2階総合展示室
- 内容
- 京にまつわる猫の文化を探ります。
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