京都は、山紫水明に恵まれた千年の都として栄え、先人の不断の努力によって高められ、蓄積された優れた伝統文化が今もなお脈々と生き続けております。
伝統文化は、科学技術や社会の刺激を受けながら、現代人の感覚、人間らしさの追求を絶えず続けることにより、現代社会に価値ある文化として生かしていくことができるのであり、その努力こそが、新しい文化を創り出すことにつながるものであると思います。
京都府京都文化博物館は、生活の中から芽生え、自発的で自由な発想のもとで育まれてきた京都文化を紹介し、優れた伝統文化に触れるとともに、新しい文化の創造力を呼び起こすために作られた総合的な文化施設であります。
京都の歴史と文化が通覧できる親しみやすい歴史博物館、京都ゆかりの日本画家、洋画家、彫刻家、工芸家などの作品を展示する美術館、京都の特性を生かした映像文化を展示・上映するフィルムライブラリーセンターの3つの機能を併せ持った「総合展示」のほか、年間を通して斬新で魅力ある企画による「特別展示」を開催しています。
また、重要文化財に指定されている明治の名建築・旧日本銀行京都支店を博物館のシンボルとして広く公開・活用しています。
さらに、作家や団体等が展覧会などを行う「貸展示室」や江戸時代末期の京の町家の表構えを復元した「ろうじ店舗」でのショッピングやお食事など、お越しになった皆様に楽しく過ごしていただけるよう工夫をこらしています。
京都の町中にあるこの博物館が、京都文化を理解する先駆けとして、一人でも多くの方々に訪れていただけるよう願っております。
公益財団法人京都文化財団 理事長
京都府京都文化博物館館長
山田啓二
京都府文化懇談会提言の主旨を生かし、平安建都1200年記念事業の一環として京都府京都文化博物館が京都府によって建設された。
●昭和55年(1980)7月、知事の諮問機関であり、岡本道雄京都大学名誉教授を座長として学界、芸術界、産業界、文化人などの委員37人からなる京都府文化懇談会において府の文化施策に関する提言がまとめられた。
●博物館の建設について、提言では次のように述べている。
○京都には、多くの文化施設があり、各種の文化的催事を行っているが、それらの展示内容で京都の歴史、美術工芸等、文化全体を総合的に紹介したものは少ない。
○京都文化として京都の歴史が通覧できるような歴史資料(考古資料を含む)、現代美術、伝統工芸および年中行事、風俗習慣などを合わせて展示・公開するとともに、各分野の研究、教育、啓発そして情報の収集、提供を行う施設を建設する。
○文化振興のための財団により効率的で多面的な文化振興の施策を展開するなど、第3セクターにより建設、運営を進めていくことが相応しいものもある。
○財団法人京都文化財団(当時)は役員に各界の有識者を迎え、岡本道雄京都大学名誉教授を理事長として昭和61年(1986)8月5日に発足した。
○昭和63年(1988)京都府京都文化博物館の完成にともない、館の管理及び運営について、京都府から委託を受ける。
○同時に京都府立文化芸術会館及び京都府立府民ホールの管理及び運営についても、京都府から委託を受ける。
○平成3年度には京都府立堂本印象美術館の管理についても京都府から委託を受ける。
○さらに、平成11年度からは(財)京都府文化財保護基金との統合により、文化財保護基金室として文化保護資金の貸付け業務を行なうなど、京都府における文化施策の中核的な存在として、その事業規模を充実させている。
○また平成25年4月1日には公益財団法人京都文化財団として新たにスタートを切った。
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